日本社会の息苦しさから逃れてアジアへと逃亡する日本人たちのルポルタージュ。
日本で短期間働き、その資金でアジアに数カ月なにもせずに滞在するという「外こもり」の若者が増えている。そのヴァリエーションは広がっており、現地で稼いだ多くない収入でひっそり暮らす日本人、ロングステイの質素版としてアジアに滞在するシニアもいる。その多くは日本社会へ嫌悪を抱いており、アジアの「緩さ」に惹かれている。
本書は「ひきこもり」ならぬ「外こもり」を扱った読みやすい本であるが、ここには現代日本社会の一面が反映されているように思う。日本社会はいまだに過剰労働、過剰サービスの文化が根強い。その点、アジアはすべてが緩やかに運営されており、非常にのんびりできる。このような日本社会を脱出したいと考えている日本人は決して少なくなく、実際に脱出したのが外こもりの人たちなのだ。