連続講義 現代日本の四つの危機 哲学からの挑戦 (講談社選書メチエ)
- 作者: 齋藤元紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/08/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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現代日本の危機を哲学的観点から論じたオムニバス形式の講義録。
・日本人の心と社会の未成熟さーーカント的啓蒙による自律性の獲得
・依存症の危機ーー衝動システムを抑え熟慮システムを鍛える
・大学の危機ーー無条件に批判するすべてを公的に言う権利の獲得
・冷戦後のよりどころの喪失ーー対話による自律的思考の訓練
・民主主義の機能不全ーー対話による討議の回復
・現代人の余裕のない心ーー俳諧による自然を鑑賞するなど心の余裕の回復
・存在そのものが危機ーー存在の形而上学的
・世界の終りの危機ーー世代間の超克
・人間の根源的な貧しさーー貧しさと真っ向から向き合う豊かさ
・戦争の危機ーーアンガジュマンの思想
・啓蒙の危機ーー危機の継承
・全体主義の危機ーーごく普通の人たちによる哲学
このように本書は現代日本の抱える様々な危機に対して既存の言説などを参照しながらそれぞれの処方箋を提示している。現代が危機の時代だということを肌で感じている人は多いはずである。だがその危機を漠然と感じているだけで、このように具体化されるとえるものが多い。また、危機への対処法も参考になる。