
- 作者: ダニエル・J.ソロブ,Daniel J. Solove,大島義則,松尾剛行,成原慧,赤坂亮太
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2017/04/28
- メディア: 単行本
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プライバシー保護の必要性について、主にアメリカの状況をもとに考察。
「プライバシーなんていらない」という人の中には、「なぜなら自分にはやましいことなんて何もないから」という理由付けをする人がいる。そして、テロの発生などで国家の安全保障の要請が高まると、安全を優先して政府のプライバシー侵害を許容してしまう。だがそれは正しいこととは言えない。政府が我々のプライバシーを把握すると、それが我々に害をなすように利用される危険性が高まる。特に昨今のデジタル社会においてはウェブ空間に我々の購買歴などの個人情報が浮遊している。政府が我々の個人情報を入手することは容易になりつつある。だが、プライバシーの利益は個人的な利益ではなく社会的な利益であり、我々は政府の情報収集を監視する必要がある。
本書はプライバシー権をめぐる論争的な書物であり、アメリカにおける9.11後のプライバシー軽視を問題視している。日本はアメリカよりもプライバシーの保護が厚いと思われるが、これからのデジタル社会では政府は容易に個人の情報にアクセスできる。決して他人事ではない問題であり、日本でもどんどん議論していく必要がありそうだ。