社会科学読書ブログ

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中原・溝上『活躍する組織人の探求』(東京大学出版会)

 

  どのような大学生活を送った人が就職後成功するかについて実証的に検証した本。

 大学生活や就職活動、最初の配属先で成功を収めている人は、大学生活を「豊かな人間関係」重視で過ごしていることが多い。課外活動・対人関係を重視しつつ、大学の授業や勉強も怠らず、正課内・正課外活動のバランスが取れている人である。そして、単に人間関係を重視するだけでなく、異質な他者との接点を多く持っていることが重要である。

 また、キャリア意識を早い時期から持ち、主体的な学習態度を持つことが、組織社会化を促進し、熱意のある革新的な社員へと成長していくことにつながることも分かった。

 本書は、大学時代の意識や行動が就職後のその人の成長に寄与していることを実証している本であり、大変面白い。結局は、主体的に学び他者と触れ合っている人が仕事でも活躍するわけであり、これは人材の採用に当たっても参考となるべきものである。ただ、近年は豊かな人間関係を築く大学生が減っているとのこと、危惧される。