社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

税務職員を一年間やって気づいたこと

1 目標は財源確保
 税務職員は政府が事業を展開するにあたって必要となる財源を確保するために課税及び徴収する任務を担っている。だが、租税法律主義のもと賦課徴収は行われるため、法律に基づいた分しか税金は徴収できない。だから、頑張ればたくさん課税できるというわけでなく、おのずと課税には限界がある。それであっても、事務の停滞などにより本来課税できた分も課税できないのは問題であり、それは部署を上げて防がなければならない。

2 正確さが命
 税金の額は法律できちんと決まっているため、税額の計算に当たっては正確を期さなければならない。税額を間違うと、その相手にだけ有利または不利な課税を行うことになり、平等原則に反することになる。正確さを担保するため、資料収集を正しく行い、システムをきちんと構築し、入念なチェックに基づいて課税しなければならない。

3 データ管理も重要
 課税するにあたっては、課税の基となる資料を大量に収集するため、その資料を適正に管理する必要がある。そのためにパソコンの表計算ソフトなどでどのような資料を集めて、その資料に基づく課税がどの段階に達しているかなどを適正に管理しなければならない。しかもこのデータ量は膨大であり、管理のためにも相当の時間を要する。

4 単純なようで奥深い
 税務職員の仕事は、課税資料を収集して資料に基づいて計算し、計算に基づいて課税して課税に基づいて徴収する、というものである。資料収集や計算など、単純作業の繰り返しのように思われるかもしれないが、それらについてもスキルを獲得するには相当の期間を要し、さらに減額やその他諸制度の処理には複雑な頭脳労働を要する。確かに単純作業もあるが、真によく理解してレベルの高い仕事をしようとするとかなりの習熟を要する。