自分を守り、立て直す能力である「レジリエンス」。本書は、様々な観点からレジリエンスを強化する処方箋を提示してくれる。レジリエンスを強化するためには、
(1)自らの弱さを認めさらけ出し、それを周囲に補ってもらうこと
(2)「人生には何らかの意味がある」という強い価値観に基づく確固たる信念を持つこと
(3)マインドフルネスにより脳の再起回路を鍛えること
(4)ポジティブな視点を持ち続け、定期的に感謝の念を表すこと
(5)ユーモアのセンス
(6)休養など回復するための時間
などが役に立つ。
本書は、様々な執筆者たちがそれぞれに微妙に異なったレジリエンスの定義を持ち寄り、そのレジリエンスを強化するための処方箋を提示している。レジリエンスとは思ったよりも多義的な概念であり、それを強化する方法も多岐にわたる。巻頭の岡田氏の論考がおそらくもっともすぐれており、レジリエンスとは弱さと関係性の中に宿るという議論は極めて説得的であった。