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小室・天野『男性の育休』(PHP新書)

 

  男性の育休のメリットについて書かれた本。男性が育休を取得する、つまり男性の家事・育児時間が増加すると、女性の産後うつへの対策にもなるし、第二子が生まれる確率も増加し、日本の少子化対策となる。また、育児という違った領域のスキルを身につけることは、男性の内部の多様性を増し、仕事の効率性を増し、男性の創造力を増すことになる。育休を取らせてもらった男性は企業へのエンゲージメントやロイヤリティを高めるし、職員が育休を取ることで周囲の部下や上司の成長の機会を提供する。これだけいいことづくめの男性の育休だが、いまだ大きな定着には至っていないため、企業には育休取得対象者に取得する権利があることを説明するよう法的に義務付ける必要がある。

 男性の育休はいまや当たり前のようになっているのは私の周囲だけだろうか。私の職場でも今年育休を取った男性職員がいるし、前の職場では一年間育休を取った職員もいた。だが、それがキャリアに与える影響や収入の問題などからいまだためらう人は多いようだ。そのようなためらいを克服するための義務付けを求めているのが著者たちであり、実際政府の民間アドバイザーを勤めている。これからどんどん男性の育休が普及していき、家族・企業・経済とも活性化していくといいなと思う。