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石井遼介『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)

 

 心理的安全性の高いチームを作るためのやり方。心理的安全なチームとは、メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的で良い仕事をすることに力を注げるチームのことである。良かれと思って行動しても罰を受けることのないチームのことで、対人関係においてリスクをとっても安全であるチームのことである。心理的安全性の高いチームはパフォーマンスと創造性が向上し、離職率が低く、収益性が高く、多様なアイデアを効果的に活用することができる。

 日本における心理的安全性の高いチームとは、①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎、の4つのファクターを備えているチームである。①仕事と相手の状況を把握し、多様な視点から状況を判断し、率直な意見とアイデアを募集する。②トラブルに迅速・確実に対処するときや通常より高いアウトプットを目指すときに必要。③チームの活気を与え、時代の変化に合わせて新しいことを模索し、変えるべきことを変える。④メンバー一人一人がボトムアップに才能を輝かせ多様な観点から社会の変化をとらえて対応する。

 「心理的安全性」という言葉は、経営学の本を読むと必ず一度は目に入るくらいに浸透してきた言葉だと思うが、実際それを現実のチームに持ち込むのはそれほど容易ではないと思われる。だが、一人一人が意識を変え、一人一人が心理的安全性を目指していけばおのずとチームが変わり組織が変わっていく。そのような勇気を与えてくれる本である。とても素晴らしい本だと思った。