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沢渡あまね『職場の問題地図』(技術評論社)

 

 残業を控えろ、でも仕事量は変わりません、さてどうするか。本書は現代の職場における時短要請と変わらない仕事量のジレンマを解決しようとする。本書は場とプロセスに着目して、職場の効率を上げようと考える。

 まず、手戻りが多いことについては、成果物のイメージ合わせと報連相設計。上司と部下の意識のずれについては目的の共有とラスボスの確認。報連相不全についてはスキルと場のルール。無駄な会議については必要性の判断と段取り。所用時間を見積もれないことについては共通プロセスと測定・改善。属人化については当たり前部分に関してはマニュアル化・自動化・共有化、付加価値部分については属人化もやむなし。過剰サービスについてはサービスレベルの設定。何をどこまでやればいいのかあいまいなことについては、サービスレベルを設定・告知・測定。仕事をしない人については評価などによるモチベーションアップ。

 本書は、職場が抱える場とプロセスの問題に鋭くメスを入れる快著である。確かに私なども身に覚えのあるところがあり、さっそく改善していきたいと思う次第である。仕事を短時間で相当量こなすためには気合だけではダメなのは明らかで、本書にあるような様々な工夫を組み合わせることが大事である。サービスレベルをきちんと設定するのは本当に大事だと思う。本書を参考に、どんどん無駄な残業を減らしていきたい。