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子育て世代が想う日本の未来

 親になってみて世の中の見方がだいぶ変わった。その一つとして、自分の子供が生きることとなる未来の日本社会に思いをはせるようになったことが挙げられる。今までは自分の世代のことだけを考えればよかった。確かに自分の世代でも日本の未来は厳しい。だが、子どもの世代になると、状況はもっと厳しさを増すのではないかと思われる。

 まず直面する問題としては保育園や幼稚園の問題。きちんとした保育園に入れることが可能か。優良な幼稚園が近くにあるか。保育士などが人員不足でギスギスした職場で働いているとなると、そんな保育園や幼稚園などには正直子供を預けたくない。保育士などの賃上げや人員増を望むようになる。

 次に教育の問題。日本の教育は昔からネガティブである。子どもの長所を伸ばそうとせず、短所ばかり矯正しようとする。そんな教育を受けて自分の子供が健やかに育つだろうか。教育現場での意識改善や教員の質の確保を望むようになる。

 さらには職場の問題。自分の子供がやがて仕事をするようになった場合、その職場はちゃんとした賃金を払い、ワークライフバランスに配慮し、ハラスメントを一掃しているだろうか。職場環境の整備や労働問題の改善を望むようになる。

 あとは少子高齢化の問題。自分の子供の世代はより少ない人員でより多くの老人たちを支えなければならない。そんなに負担が大きい中、健康で文化的でゆとりのある生活を送れるのだろうか。

 さらには日本全体が凋落している問題。労働生産性は低く、男女の平等性も低く、もはや日本は「先進国」とはとても呼べなくなっている。この状態がずっと続くのか不安である。まさに自分たちの世代で労働生産性を向上させ、ジェンダー間のギャップを縮めなければならないのではないか。

 最後に環境の問題。自分の子供に残す地球の環境として、これ以上温暖化を進めてはならないし、貧困や宗教の違いなどに基づく争いを減らしていかなければならない。グローバルな観点から、よりよい世界を子どもたちには残していきたいものである。

 子を持つ親として、日本、そして世界の未来はとても気になる。自分の子供が果たして快適に暮らせる未来が訪れるのだろうか。このことについては決して自分は受動的であってはならない。他人任せにせず、まず自分のできる身近なところから一つ一つ努力し改善していかなければならない。子供により良い未来を残したいのは、親たちの共通の望みではないだろうか。