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納富信留『世界哲学のすすめ』(ちくま新書)

 世界哲学の試みについて書いた重厚な本。旧来、西洋哲学以外の哲学的営みは、「宗教」や「思想」として「哲学」の地位を与えられてこなかった。だが、「宗教」や「思想」にもそれぞれ独自の合理性・論理性・批判性が備わっていて、それぞれを「哲学」と呼ぶことが可能である。世界を構成する多くの地域や伝統があり、ヨーロッパ哲学や中国哲学日本哲学などの個別の哲学的伝統を吟味し追求し、それらを照らし合わせてより普遍的な哲学の姿を見るのが「世界哲学」である。

 本書は、哲学についての根本的な問題提起をしており、ある意味メタ哲学とでも言える書物である。哲学の一つの方法として世界哲学があり、そこにおいては中国哲学やアフリカ哲学なども同等に比較され、それぞれの歴史に照らして吟味され、ローカルな諸哲学を照らし合わせたところに普遍的な哲学の姿を見ようとしている。なかなか読み応えのある重厚な本であり、哲学の新たな局面を見た気がした。