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チャールズ・カプチャン『ポスト西洋世界はどこへ向かうのか』(勁草書房)

 西洋が覇権を握っていた時代は終焉し、多様な近代が世界秩序を構成するだろうとする本。欧米は、民主主義・資本主義・世俗ナショナリズムという原理で経済的に発展してきた。だが、これから勃興してくる諸国は権威主義体制の場合もあるし、民主主義であっても西洋とは違う民主主義をとる場合もある。これからは、新興国が経済的に発展していく中、多元的でグローバルに協調していく世界秩序が予想される。

 冷戦の終結とともに、歴史の終焉などが論じられた。だが、歴史は終焉していなかった。欧米の政治体制だけが正当なのではなく、これからは新興国が多元的に近代化していく。その近代化の過程は西洋の近代化の過程とは異なり様々であり、できあがる政治体制も西洋のそれとは様々に異なっていくであろう。世界は欧米モデルに収れんしていかなかったのである。これからの未来を予想するスケールの大きな書物である。