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読書の効用

 現代社会はめまぐるしく変化しており、どんどん多様性が増していっている。この変化の速度と多様な価値観に対応するために、我々は何をしたらよいのか。私の結論としては、とにかく本を読めということだ。なぜなら、読書は柔軟性と想像力を養ってくれるからだ。

 本を読むということは、他者との出会いである。もちろん現実の他者と出会い、そこで意見の交換を行ってもよい。だが、他者との意見の交換は本を読むのが一番手っ取り早い。なぜなら、人付き合いは意見の交換だけではない要素が多分に含まれているが、読書はまさに意見の交換に特化しているからだ。

 読書をすることで、自分の知らない体験や自分の知らない世界についてある程度知ることができる。また、自分とは異なる意見や自分が思いもつかないアイディアに出会うことができる。このようにして、世界は広くて多様だということを実感することが、まさに本を読むという体験なのだ。

 現代社会は変化の速度を増しているが、それに柔軟に対応するためにも、現代社会についての本を読むことが大事だ。今何が問題となっていて、何が議論されていて、人々はどう考えているか知ることで、時代の変化に柔軟に対応することができる。自分の思い込みにとらわれず、多様な価値観に寛容になったうえで、物事に柔軟に対応できるようになる。

 また、他人の体験について読書することは、想像力を増してくれる。現実世界で生きている他人についても、膨大な文脈と膨大な人生経験を含んだ存在として尊重し、他人についても人それぞれの事情があるのだと想像力を働かせることができるようになる。

 本にも様々な種類があるが、学術書にしても文学作品にしても、そこで他人の意見や体験に触れることで、迅速に多様性を増す社会に対して、柔軟性と想像力をもって適切に対峙することができるようになる。