資本主義と社会主義を持続可能な形に修正すべきとする提案の書。新しい資本主義は主に国内の問題にかかわり、企業が社会的企業として、株主のみならず多様なステークホルダーのために事業を遂行していき、多様な倫理的要求に応え、社会的責任を果たしていくことを目指す。新しい社会主義は主に国際関係に関わり、世界市民が、市場と競争に代わって、交渉と協調によってグローバルコモンズを維持管理していくものであり、新しい資本主義と共存する。
本書は経済哲学に関する重厚な書物であり、新書レベルを超えている。だが、来るべき未来にどのような哲学にのっとって経済が運営されていくべきかについての精緻な議論が展開されていて、とても刺激的であるうえとても勉強になる。知らなかったことも多くてたいへん学ぶべき点が多かった。宇沢弘文を継承しているということだが、宇沢の偉大さも伝わってくる。
