学問の在り方について目から鱗が落ちる本。現代日本においては、プロの研究者が優位に立ち、在野の研究者はアマチュアとしてあまり重視されていないが、かつてはそうではなかった。イギリスにおいて、ダーウィンやマルクスが活躍したころ、研究者はアマチュアであることが多く、むしろプロであることが軽蔑されていた時代があった。日本においても、南方熊楠はイギリスに留学して、イギリスのアマチュア重視の学問の在り方に影響を受けて、帰国後柳田国男などに影響を与えた。
大学教員の給料は昔は非常に安くて、そんなものでは生計を立てられなかった。在野の学者たちは、相続した遺産や親族からの援助により生計を立て、大きな学問上の業績を残した。確かに、学問は誰がやってもよい。きちんと研究してきちんと業績を残せれば誰がやっても同じである。現代日本の在り方は研究の在り方の一つに過ぎないし、それ以外の可能性は無限に開かれている。目から鱗だった。