社会保障の新しい在り方について提言している本。憲法上の勤労の義務規定は法的義務ではなく道徳的規定であり、労働か自営業かという区別を前提としない、働き方を問わずに適用可能な社会保障を構想することは可能であり、誰もがもれなく利用できる社会保障制度の構想が可能である。公的年金、医療保険、雇用保険、労災保険において、「働かざるもの食うべからず」といった価値観や制度の複雑性を乗り越えた制度設計が可能である。
最近フリーランスの人たちの扱いが問題になっていることは知っていた。労働者か自営業者かで、社会保障の枠組みが異なっており、アンバランスで不平等な状況が発生していることも知っていた。フリーランス人口が増大していく中で、そういった問題が社会問題化しており、本書はそのような問題への処方箋を示すものである。道のりは決して近くはないが、実現可能な提案だと思う。