自殺の心理学を平易に解説している。自殺の対人関係理論によると、自殺は3つのファクターの組み合わせにより生じる。それらは、①「自殺潜在能力」、つまり自殺企図歴や自殺手段へのアクセス容易性など、②「負担感の知覚」、つまりスティグマを負ったりして自己肯定感が低下すること、③「所属間の減弱」、つまり良質な対人関係が失われること、である。これらを減弱させるような社会制度により自殺を防止できる。
自殺の心理学理論としての自殺の対人関係理論を紹介している本である。身近な人、家族や友人などが自殺した経験を持つ人も多いと思う。そういった自殺と向き合うための理論的な知見である。誰かが自殺すると非常なもやもやが残る。誰かが自殺するというのは大きな出来事である。遺されたものとしてはそれを何とか説明したいと思うものである。そのための理論を提供してくれる。