社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

石岡丈昇『エスノグラフィ入門』(ちくま新書)

 エスノグラフィについての入門書。エスノグラフィはフィールド科学であり、①不可量のものに注目し記述する。②生活を書くことに重点を置く。生活を書くために調査者は③フィールドの時間に参与し、④関連文献を対比的に読み、⑤事例の記述を通して特定の主題についての洗練された説明ができる。

 エスノグラフィという概念を初めて知った。質的社会学とは微妙に違ったニュアンスを持つのだろうか。エスノグラフィはより身体的な側面が強いのかと思った。とにかく身体的にフィールドに入り込み、身体的にフィールドの時間に参与し、身体的にフィールドの空気を感じ取る。この身体性こそがエスノグラフィを特徴づけるものだと思う。このような学問の営みには素直に敬意を感じる。