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平芳裕子『東大ファッション論集中講義』(ちくまプリマー新書)

 ファッション論についてのイントロダクション。近年活発になってきたファッションスタディーズ。その入門となる本書は、そもそも衣服とは何かという哲学的問題に始まり、衣服がただのプロダクトである時代からアートとして認識されるに至るまでの歴史を描き出す。主に西洋における衣服の歴史を扱っているが、それは本書が入門書であるからだろう。

 ファッションについてちゃんと学ぶ機会がなかった。ファッションについてたくさんの書物が出版されているとのことなので、それらを読みながら、ファッションの奥深さに浸りたいと思わされる本だった。本書はあくまで導入に過ぎない。至る所にもっと深堀していきたいと思わされるポイントがあり、そういうところについて文献をあたっていくといいだろう。とりあえず、ファッションスタディーズへの興味喚起という点で成功している本である。