本書は、戦後から現代にいたるまでの日本の政治学史を振り返り、そこにおいていかに実証研究が盛んになったか、いかに道徳から科学へ変遷していったかを、ビッグネームをよりどころに明らかにしている。初めは輸入学問に過ぎなかった政治学も、だんだん日本に根付いていき、日本の政治学がどんどん活況を呈するようになった歴史を描いている。蠟山正道からはじまり、レヴァイアサン・グループをへて、どのように展開していったか。フェミニズム政治学までを視野に収めている。
いわば、科学史としての日本政治学史なのだと思う。このように、社会科学についてはどんどん科学誌が編まれていくべきだと思うし、その具体例を読むとその存在意義が一層よくわかってくる。特に日本の政治学に焦点を当てるというのがなかなか面白く、そこにおける特異性と普遍性が何となく明らかになり、ほかの科学について考える際も参考になる。良い本だった。
