社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

児玉聡『ミル『自由論』の歩き方』(光文社新書)

 ミルの古典『自由論』を分かりやすく解きほぐしたもの。多数者の専制により、個人の自由が脅かされようとしているため、他人に危害を加えない限り人間は自由に行為できるとする他者危害原則を擁立する必要がある。そして、自由な個人がそれぞれの個性を開花させることで個人や社会の幸福が実現できる。人間の画一化は社会の停滞をもたらすため、多様な個性を維持すべきである。

 『自由論』は原典を読んだことがなかったが、このように解説されるとすごく単純なことを言っているんだということに気付かされる。そう思わせるこの解説本が素晴らしい。ミルの時代から、世間とかコミュニティの問題や多様性の問題は議論されていたのだなと気づき、社会におけるこのような問題系の根深さに気付かされた。