移動の観点から格差を読みといていく好著。移動格差とは、異動をめぐる機会や結果の不平等と格差、それが原因で起こる社会的排除と階層化のことである。経済的な豊かさと移動格差には密接な関係がある。だが、移動しているから豊かであるとは限らず、難民など困窮の果てに移動している人たちもいる。移動をめぐる当たり前のことを問い直し、可視化されていない不平等に目を向ける必要がある。
移動の観点から社会の不平等を論じる画期的な著作である。移動は、グローバルエリートの特権かと思いきや、よりよい職を求める低所得層の移民や、難民などもまた移動するのである。移動というもののはらむ社会的な意味は一筋縄でいかないものがあり、そうでありながらもやはり移動できるということはステータスと結びつきやすい。だが、それほど移動しないでも豊かな暮らしができることは強調しておきたい。
