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白石正明『ケアと編集』(岩波新書)

 ケアに関する書籍レーベルを担当した編集者によるエッセイ。ケアで問題となる論点は編集にも生かせるのではないか、ケアの原則は編集の原則ともなりうるのではないか、という提言の書である。中でも、べてるの家の創設者に著者は大きく影響を受けていて、治療モデルではないケアモデルで編集も考えられるのではないかと考えている。分母を変える、ものさしを変えるという姿勢は編集でも有効だと考えている。

 確かに、慣習的なものの見方にとらわれていると見えないことがたくさんある。自分が目からウロコが落ちるようなものの見方に出会うことで、人というのは自分の生業などへの理解を深めていくのであろう。著者はケアという分野に触れることで、自らの生業である編集をもう一度とらえなおし理解しなおしたように思う。目からウロコの体験が、自らの生業に影響を与える良い例だと思う。