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村上晶『賽の河原』(ちくま新書)

 供養についての宗教学的な分析である。供養とはもともと、あの世とこの世の境界にいる死者に確定的に死を与え、死者をきちんと死者にする儀式であった。その供養の仕方は、特に幼くして亡くなった子供の供養のように、様々な方法をとっていた。だが現在では、供養は死者の記憶を再確認するような顕彰の意味合いが強くなってきている。死者は現在も生き続けているというのが現代の死生観のようだ。

 本書は、賽の河原やイタコなどによる供養の実践について宗教学の見地から記述しているが、そこに見られた伝統的な死生観は現代変容しつつあり、供養の意味合いも変わってきている。そういう歴史的なダイナミズムが見える本であり、学ぶところがとても多い本だった。宗教学は普段あまりなじみがないが、割と我々の世界観に迫ってくるものであり興味深い。