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上杉勇司『クーデター』(中公新書)

 クーデターについて重厚にまとめた本。クーデターとは支配階層に属する一派が政権の権力者を一撃で交代させる行為である。国内にクーデターを鎮圧できる勢力がいない場合、クーデターは成功しやすい。クーデターを抑止するには、エリートへの利益分配を制度化し、現政権への不満を抑えることが必要である。民政移管は軍事クーデター後に生じる複雑なプロセスで、その成否は国内外の要因に大きく左右される。

 クーデターについてここまで掘り下げて理論的に説明されると圧巻である。クーデターは成功して国がよくなることもあれば、いたずらに混乱を引き起こす場合もある。そのジレンマの中で、成功裏に国民の支持を得て民主化を進めていくのが一番クーデターが成功する例である。日本でもこれまでクーデターはあったし、世界中でクーデターが起こっている。決して対岸の火事ではない。