相対主義と普遍主義をめぐる論考。真実は一つだとする西洋主義的な普遍主義も、人それぞれといって多様性を推し進める相対主義も極端であり、支持できない。人間にはそれぞれの違いはあるにしろ、言語や文化の多様性は人間にとって理解可能な範囲にとどまる。正しさは一つの行為に複数の人間がかかわるときに生じるものだから、関わる人たちが合意することで正しさを作っていく必要がある。
本書は、普遍主義も相対主義もそのままでは問題があるとして、第三の道を探っていくスリリングな本である。普遍主義も相対主義も理論的な問題点があり、それを克服するためには、人間にとって理解可能な範囲での普遍性を認めつつもそれぞれの多様性を持ち寄り合意によって正しさに至るプロセスが必要である。納得感のある結論だった。
