社会科学読書ブログ

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ラファエル・リオジエ『男性性の探求』(講談社)

 世界における男性支配の構造を暴いている本。女性はあるがままの姿で扱われておらず、男性性が築き上げてきた女性らしさを持つものとして扱われてきた。それは女性を支配し女性の力を奪うものであり、女性に去勢コンプレックスを引き起こしてきた。今日の課題は、女性的なものと男性的なものの意味を価値転換し、ジェンダーと欲望を流動化し、関係性の中で自己を新たに探究する機会とすることである。

 女性が男性の欲望の的となっており、その主体性が認められていないことについて、様々な事例を用いて丁寧に論証している。これはそもそも文化的な構造であり、また我々の中に無意識に埋め込まれた構造である。そこを変えなければいけないので、非常に困難ではあるが、必ず達成しなければならない変化だと思う。ここまで丁寧に問題点を洗い出してくれてうれしかった。