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堀内隆行『ネルソン・マンデラ』(岩波新書)

 ネルソン・マンデラの簡潔な評伝である。マンデラは人格に優れ、交渉力を持ち、軸を持ちながらも現実を直視して臨機応変に対応していく政治家だった。南アフリカにおける黒人差別の問題に生涯取り組み、黒人差別を大幅に解消した。非暴力主義者というよりは場合によっては暴力も辞さないという考えだった。27年獄中にいながら、出獄してから大統領になったという特異な経歴を持つ。

 ネルソン・マンデラは名前を知っていても人物をよく知らない歴史上の人物であった。今回、短い評伝ではあるが、まとまった本を一冊読むことで彼の人物像がだいぶつかめてきた。人格者でありながら過酷な運命に翻弄され、それでも世界を動かした畏敬すべき人物である。おすすめです。