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北山忍『文化が違えば、心も違う?』(岩波新書)

 心の文化的相対性について議論している。欧米にみられる独立的自己は、能動的に社会関係を作り出し、自己高揚性が高い。それに対して東洋にみられる協調的自己は、稲作という伝統に根ざしており、他人に配慮する受動的な自己である。独立的自己は個人主義と結びつくが、個人主義とは集団的な福祉よりも個人の欲求や目標を優先する。協調的自己は集団主義と結びつくが、集団主義とは個人の欲求よりも集団の福祉を重視する。

 心の在り方は脳の在り方に規定されており、文化によって脳のつくりも違うとのこと。文化が心を作り、心も文化を作る。そのように、心理学を文化的にとらえていくことの面白さを感じさせてくれる本だった。文化心理学というものの入門書であり、文化心理学の限りない面白さに気付かせてくれる本である。