対話について目からウロコの議論が展開されている。対話をするとは、それぞれが自分と相手の一人称的経験を共有し合うことで、相手がなぜそういう考えになったかを相互に理解する試みである。肯定でも否定でもなく、問いを発することで相手方から一人称的経験を引き出すことである。そのためには、相手に対する二人称的関心が必要であり、傾聴・尊重・共感が大事である。会話でも議論でもない対話の本質はそこにある。
現代社会において、圧倒的に不足しているのが対話である。きちんと対話をすればすぐに解決するような問題について、迂遠な方法をとることで却って問題をこじらせているケースをよく見かける。表面的な会話でもなく、勝ち負けの議論でもなく、相互理解の方法としての対話がすごく重要であり、たいていの問題は対話によって解決する。現代社会ではとにかく対話が緊急に必要である。
