社会科学読書ブログ

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竹端寛『福祉は誰のため?』(ちくまプリマー新書)

 福祉という各人の幸福を目指す営為について解説。責任には後ろ向き責任と前向き責任がある。後ろ向き責任は、過去の特定の行為から生じた損失の補償を、当人が個人的に引き受けること。前向き責任は、当人の置かれた状況に応じて、将来ある特定の行為を遂行することを望ましいものとみなすこと。前向き責任でもって未来に向かってより良い行動を導くのが望ましい。また、マインドセットには硬直マインドセットとしなやかマインドセットがあるが、どうやったら可能になるかチャレンジするしなやかマインドセットが良い。

 各人の幸福を導くためにはどのようなマインドセットによりどのような制度を構築したらよいかという福祉の根本問題、福祉の原理論を展開している本であり、非常に勉強になる。前向き責任は未来志向でとても素晴らしいし、しなやかマインドセットも、人々の幸福を導くためには必須である。そもそものモノの見方考え方を変えることで福祉の理想を実現していこうとするものである。