詩人を「詩獣」としてとらえ、近現代詩人の詩への思いをつづった評論。詩人は人知れず暴力を被っており、永遠に癒えない傷を抱えて天を見上げ、声なき声で鋭い痛みをうめく。詩人は危機を前にして、それを乗り越えるために根源的な共鳴の次元で他者を求め、新たな共同性のにおいを嗅ぎ分ける獣なのである。そのような観点から、尹東柱、ツェラン、寺山修司、ロルカ、リルケ、石原吉郎、立原道造、ボードレール、ランボー、中原中也、金子みすゞ、石川啄木、宮沢賢治、小林多喜二、原民喜を論じている。
ここで取り上げられている詩人たちはどれもそれなりに名の知れた詩人たちであり、ある程度作品などを知っていたが、伝記的事実など新たに知ることになった点も多々あり、勉強になった。また、これらの詩人たちを「詩獣」という観点からとらえなおす視点も新鮮であり、詩人についての洞察を深める読書体験だった。詩の評論もこれからどんどん読んでいきたい。
