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藤井誠二『「殺された側」から「殺した側」へ、こころを伝えるということ』(光文社新書)

 2023年12月1日から、心情等伝達制度が始まった。これは、刑務所などにいる犯罪加害者に被害者や遺族から心情を伝達することで、被害者側に言いたいことを言わせるとともに、加害者に反省を促す制度である。この制度を実際に運用して分かったのは、加害者によって反応は様々だということだ。全然反省していない加害者もいるし、表面だけの反省を示す加害者もいるし、一方では過剰なほど反省している加害者もいる。被害者側の思いは複雑だ。

 刑事司法に導入された新しい制度のルポである。確かに、予想されたことではあるが、加害者側から満足のいく回答が来るのは稀である。被害者側は強い憎しみなどを抱いているから、要求する水準が非常に高い。だが、被害者側に加害者に対して心情をじかに吐き出すことができるようになったのは、とても意義のあることであり、今後の展開が注目される。刑事司法にとって画期的な制度であろう。