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中谷陽二『ミシェル・フーコーと狂気のゆくえ』(講談社選書メチエ)

 フーコーを手掛かりに狂気概念について考察している。人が狂うことを、理性と非理性という対立軸で考察する内部的視点と、社会において狂人がどのように扱われてきたか考察する外部的視点に分ける。外部的視点は狂人の閉じ込めということで反精神医学ととらえられた経緯がある。だが、フーコーの議論を踏まえると、狂気とは出来事としての真理であり、創造性や知的探求欲と一体となっている。我狂う、ゆえに我ありである。

 狂気が真理や美と接合されていく議論の展開は圧巻であり、フーコーの議論を追いつつも著者独自の観点からの狂気論が展開されている。フーコーの書著作は、このようなスピンオフをたくさん生み出すだけのポテンシャルがあるものであり、フーコーに触発されて数多くの研究が出されてきた。本書もまたそういった諸果実のうちのひとつであり、とても刺激的であった。