本書は、昭和の時代に作家や兵士、政治家や活動家などが遺した遺書から辿った昭和史である。芥川の自殺から二二六事件、太平洋戦争から学生運動など、昭和の大きな出来事の背後には、死んでいった者たちの遺書があった。それらの遺書の時代背景を読みとくとともに、遺書に表れた昭和の時代の人々の肉声を読みといていく。遺書の内容は、反省や感謝、謝罪など多岐にわたり、それぞれの人々の性格を表すものだった。
遺書を題材とした昭和史である。遺書という痛切な文章に込められた、激動の昭和の時代を生きた人々の人生や思想、そういうものをもとに昭和の時代をある一面から照射しようとしている。それは特異な昭和史ではあるが、命を懸けた人々の言葉は重く切ない。時代を彩った重要人物たちの肉声を読むことができてよかった。このような試みは昭和だけでなく様々な地域と時代で行うことができるだろう。
