悪をなくすにはどうしたらいいか。悪というものとどう対処したらいいか。そんなことをよく考える。だがそういった思考の前提として、そもそも悪とは何であり、どこからどこまで悪なのか、という問題がある。たとえば眠っている人の顔にいたずら書きをするのは悪なのだろうか。また、別れ話のもつれで男が暴力をふるった場合、暴力をふるうことが悪なのか、それともその暴力を引き起こした、女の心変わりが悪なのか。また、対処するといっても方法は刑罰だけではない。教育とか社会規範とかほかにも対処法はある。どのような対処をしたらよいのか。悪の種類によって対処法も変わってくるはずだ。それでも悪は人を不幸にするからなるべくなくさなければならない。でも悪というものがどういうもので、どう対処したらよいのか分からない。このジレンマの中で必死に答えを探していくのが、法学徒としての私の使命だろう。