社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

大谷基道『東京事務所の政治学』(勁草書房)

東京事務所の政治学: 都道府県からみた中央地方関係 作者:基道, 大谷 発売日: 2019/10/29 メディア: 単行本 すべての都道府県が東京に「東京事務所」を置いている。その実態に迫った本。 東京事務所の活動は、①中央省庁からの指示・伝達事項を都道府県に伝え…

川端康雄『ジョージ・オーウェル』(岩波新書)

ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌 (岩波新書) 作者:川端 康雄 発売日: 2020/07/18 メディア: 新書 『動物農場』や『一九八四年』で、個人の自由の制限や監視社会化に警鐘を鳴らすようなディストピア小説を書いたジョージ・オーウェルの生涯と作…

神里達博『リスクの正体』(岩波新書)

リスクの正体――不安の時代を生き抜くために (岩波新書) 作者:神里 達博 発売日: 2020/06/20 メディア: 新書 本書は科学史家である著者がリスク社会をめぐって書いた朝日新聞連載をまとめたものであり、一つのテーマについて新書で4ページ分となっている。感…

藤田久一『戦争犯罪とは何か』(岩波新書)

戦争犯罪とは何か (岩波新書) 作者:藤田 久一 発売日: 1995/03/20 メディア: 新書 戦争犯罪に関する国際法の入門書。第一次大戦前の国際社会では国家の行う国際戦争は一般に合法とされ、これを無差別戦争観と呼ぶ。無差別戦争観の下では、戦争犯罪は捕虜の虐…

幸せに生活するために

幸せに活き活きと生活するためには、ワークライフバランスが不可欠です。仕事でぐったりとしてあと何もやる気が起きないようでは人生楽しくありませんよね。家庭生活や趣味の活動、要するにプライベートな領域を充実させるのが幸せの鍵であり、幸せな労働者…

ハーバード・ビジネス・レビュー『レジリエンス』(ダイヤモンド社)

レジリエンス (ハーバード・ビジネス・レビュー EIシリーズ) 作者:ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 発売日: 2019/11/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 自分を守り、立て直す能力である「レジリエンス」。本書は、様々な観点からレジリエンスを強化…

デヴィッド・グレーバー『民主主義の非西洋起源について』(以文社)

民主主義の非西洋起源について:「あいだ」の空間の民主主義 作者:デヴィッド・グレーバー 発売日: 2020/04/22 メディア: 単行本 民主主義は西洋に起源を持つ、というのが定説のように唱えられてきた。特に古代ギリシアのアテネに由来するというのが大方の見…

前野隆司他『幸福学×経済学』(内外出版社)

幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える 作者:前野隆司,小森谷浩志,天外伺朗 発売日: 2018/05/23 メディア: 単行本 会社の経営で一番大事なことは、利益を確保することよりも社員の幸福である。社員が幸福であれば自然と利益も確保される。そういう理…

帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ』(朝日選書)

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書) 作者:帚木 蓬生 発売日: 2017/11/07 メディア: Kindle版 ネガティブ・ケイパビリティとは「答えの出ない事態に耐える力」のことであり、19世紀イギリスの詩人キーツにまでさかのぼり、…

『やっかいな人のマネジメント』(ダイヤモンド社)

ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ] やっかいな人のマネジメント (ハーバード・ビジネス・レビュー―EIシリーズ) 発売日: 2020/02/06 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書は『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に掲載された論文の中から厳選さ…

詫摩佳代『人類と病』(中公新書)

人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書) 作者:詫摩佳代 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 国際的な保健協力の観点から人類と病との関わりを読みといたもの。病に対する国際協力体制を「国際保健」「グローバルヘルス」という。国際保健…

ハ・ワン『あやうく一生懸命生きるところだった』(ダイヤモンド社)

あやうく一生懸命生きるところだった 作者:ハ・ワン 発売日: 2020/01/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) 自由と健康は誰しもが大事にしたいと思っている基本的な価値だと思う。人は自由に行動したいし、健康に生きていきたい。できるだけ縛られたくないし…

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』(岩波現代文庫)

永遠のファシズム (岩波現代文庫) 作者:ウンベルト・エーコ 発売日: 2018/08/18 メディア: 文庫 作家であるウンベルト・エーコの政治に関する論考を収めた本である。戦争について、その情報技術社会における位置づけや知識人の責任、ネットワーク的生起など…

渡辺靖『白人ナショナリズム』(中公新書)

白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」 (中公新書) 作者:渡辺靖 発売日: 2020/05/29 メディア: Kindle版 黒人への暴力行為などで最近注目を浴びている白人ナショナリズム。本書はその実態について概観できる優れた本である。白人ナショナリズ…

長谷川宏『幸福とは何か』(中公新書)

幸福とは何か - ソクラテスからアラン、ラッセルまで (中公新書) 作者:長谷川 宏 発売日: 2018/06/20 メディア: 新書 長谷川は本書で幸福を、「穏やかで静かで身近なしあわせ」ととらえたうえで、様々な哲学者の幸福論を自らの幸福観と照らし合わせている。…

私はなぜ残業をしないか

私は基本的に毎日定時で帰ることにしている。夜の残業は休日の前か金曜日以外しないことにしている。理由は簡単である。効率の悪い労働は悪だと思っているからだ。ちなみに私は夜の残業をしないだけであって朝は毎日1時間の残業をしている。月20時間、残業…

本田由紀『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書)

教育は何を評価してきたのか (岩波新書) 作者:由紀, 本田 発売日: 2020/03/21 メディア: 新書 日本の教育がいかに序列化と画一化を生み出したかを検証している本である。日本では人間の望ましさを「能力」「態度」「資質」という言葉で評価してきた。能力に…

植村和秀『ナショナリズム入門』(講談社現代新書)

ナショナリズム入門 (講談社現代新書) 作者:植村 和秀 発売日: 2014/05/16 メディア: 新書 本書はナショナリズムを定義づけたうえで、そのダイナミズムを世界各国の具体例を通して説明している。ナショナリズムとは、まとまった土地を確保しそこに歴史を積み…

佐々木毅『アメリカの保守とリベラル』(講談社学術文庫)

アメリカの保守とリベラル (講談社学術文庫) 作者:佐々木 毅 メディア: 文庫 本書はアメリカの保守とリベラルの対立、またその対立の乗り越えについて論じた基本的文献である。小さな政府を志向し、カトリック道徳に忠実な保守と、大きな政府を志向し、弱者…

パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』(早川書房)

コロナの時代の僕ら 作者:パオロ ジョルダーノ 発売日: 2020/04/24 メディア: Kindle版 本書の著者はイタリアの作家であり素粒子物理学者でもある。それゆえ、このエッセイには多分に科学者としての知見が盛り込まれており、作家のエッセイというよりは科学…

谷口・宍戸『デジタル・デモクラシーがやってくる!』(中央公論新社)

デジタル・デモクラシーがやってくる! -AIが私たちの社会を変えるんだったら、政治もそのままってわけにはいかないんじゃない? (単行本) 作者:谷口 将紀,宍戸 常寿 発売日: 2020/03/06 メディア: 単行本 本書は、情報技術が政治にどのような影響を与えるかに…

上村忠男『アガンベン《ホモ・サケル》の思想』(講談社選書メチエ)

アガンベン 《ホモ・サケル》の思想 (講談社選書メチエ) 作者:上村忠男 発売日: 2020/03/11 メディア: Kindle版 本書は、イタリアの哲学者であるアガンベンの思想を紹介している。フーコーの「生政治」の思想を継承したうえで、それを「ホモ・サケル」という…

兼本浩祐『発達障害の内側から見た世界』(講談社選書メチエ)

発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること (講談社選書メチエ) 作者:兼本 浩祐 発売日: 2020/01/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) 精神医学の現場で起こる「診断」することについての哲学的考察である。本書では「分かる」ことを説明と了解に…

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』(星海社新書)

生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想 (星海社新書) 作者:大谷 崇 発売日: 2019/12/27 メディア: 新書 ルーマニアのペシミストであるシオランを紹介した本である。シオランは怠惰を奨励した。なぜなら怠惰であれば行為も存在…

ジュリエット・B.ショア『浪費するアメリカ人』(岩波現代文庫)

浪費するアメリカ人――なぜ要らないものまで欲しがるか (岩波現代文庫) 作者:ジュリエット・B.ショア 発売日: 2011/03/17 メディア: 文庫 所得の高い仕事に就くとたいてい激務であり、私生活の余裕があまりとれない。だが、私生活の余裕を取ろうとすると所…

宇野重規『未来をはじめる』(東京大学出版会)

未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学 作者:宇野 重規 発売日: 2018/09/27 メディア: 単行本 本書は中高生を相手になされた政治学の講義の記録である。「異なる者同士が共にいること」を政治の出発点として、共にいることの諸態様、友人関係であ…

柴田久『地方都市を公共空間から再生する』(学芸出版社)

地方都市を公共空間から再生する: 日常のにぎわいをうむデザインとマネジメント 作者:柴田 久 発売日: 2017/11/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) 公共工事はバラマキであるとか不平等であるとか箱モノを作るだけとか批判されてきたが、それは公共工事に…

千葉雅也『勉強の哲学』(文春文庫)

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫) 作者:雅也, 千葉 発売日: 2020/03/10 メディア: 文庫 学校を出て仕事に就いてからも、いろいろと見識を深めたいと思う人は多いだろう。だが、いざ勉強をするとなると、どこから手をつけていいか分から…

木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』(星海社新書)

ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想 (星海社新書) 作者:木澤 佐登志 発売日: 2019/05/26 メディア: 新書 人間たちは、互いに共存共栄し合い、人間という種族の繁栄を期するために日々生活し様々な政治活動を行う。たぶんこれは多く…

森岡孝二『雇用身分社会』(岩波新書)

雇用身分社会 (岩波新書) 作者:森岡 孝二 発売日: 2015/10/21 メディア: 新書 非正規雇用によるワーキングプアの問題はつとに指摘されてきた。『蟹工船』がベストセラーになったりする背景には、労働者の人権が十分保障されていない現代への不満がある。だが…