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岡嶋裕史『メタバースとは何か』(光文社新書)

 メタバースについて、具体例を挙げながら解説している本。メタバースとは、「現実とはすこし異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」のことであり、ゲームやSNSVRと親和性が高い。仮想世界では現実のしがらみから解放されてもっと楽しく充実した人生を生きられるかもしれない。だが、仮想世界は現実逃避にもっぱら用いられてしまうかもしれないし、急速に構築される世界でテックジャイアントの思うがままの正義が出来上がってしまうかもしれない。

 最近とみに注目を集めているメタバースであるが、すでにゲームなどで現実とは別のもう一つの現実が作成されている。今はまだメタバースの包摂力は強くはないが、将来的には人々がメタバースで過ごす時間が増えるかもしれない。私は仮想現実よりも生の現実の方が居心地が良いのでメタバースにはあまり食指が動かないが、これからの社会の在り方を変えていく技術だと思う。