社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

中真生『生殖する人間の哲学』(勁草書房)

生殖する人間の哲学: 「母性」と血縁を問い直す 作者:中 真生 勁草書房 Amazon 本書はレヴィナスに依拠しながら、人間は根底的に誰でも親になりうることを論述している。一般的には、生むことがそのまま親であることにつながると考えられがちである。基本的…

小松理虔『地方を生きる』(ちくまプリマー新書)

地方を生きる (ちくまプリマー新書) 作者:小松理虔 筑摩書房 Amazon ローカルアクティビストとして活躍する著者の実体験に基づく地方暮らしのエッセイ。地方では自分の生き方の可能性が広がる。競争相手が少なくコストがかからないから、失敗しても再チャレ…

理論を実践することは可能か

先日恩師と話す機会があり、その中で「お前ももう40になるんだから理論を実践することを考えろ」という話題が上がった。だが、理論を実践することはそれほど簡単だろうか。それは理論を実践する場によって異なると思われる。 例えば健康法の理論があり、そ…

鴻上・佐藤『同調圧力』(講談社現代新書)

同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書) 作者:鴻上尚史,佐藤直樹 講談社 Amazon 日本社会の息苦しさを生み出している同調圧力について分析した本。同調圧力とは「みんなと同じに」という命令であり、日本は世界でも同調圧力が突出して高い国…

吉見俊哉『東京復興ならず』(中公新書)

東京復興ならず-文化首都構想の挫折と戦後日本 (中公新書 2649) 作者:吉見 俊哉 中央公論新社 Amazon 戦後の東京の歩みを文化都市構想の挫折というテーマで描いた本。終戦直後の日本では、日本を文化の力で復興しようという動きがあった。東京への一極集中で…

育児休業を取ってみて感じたこと

妻の出産に伴い、生後百日は大変だろうということで、生後70日は里帰り先の妻の実家の義両親にサポートしてもらい、里帰りから戻ってきてその後の30日を、私が育児休業をとってサポートした。実際に育児に専念してみて色々感じたことがある。 1.ものの…

辻村みよ子『ポジティヴ・アクション』(岩波新書)

ポジティヴ・アクション――「法による平等」の技法 (岩波新書) 作者:辻村 みよ子 岩波書店 Amazon ポジティヴ・アクションとは、人種や性別などに由来する事実上の格差がある場合、それを解消して実質的な平等を実現するための積極的改善措置のことである。人…