社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

政治

山口真一『炎上で世論はつくられる』(ちくま新書)

炎上で世論はつくられる ――民主主義を揺るがすメカニズム (ちくま新書) 作者:山口真一 筑摩書房 Amazon 世論形成に及ぼすSNS等の作用について解説している。近年、投票行動に対するSNS等の影響力が強まっている。XやFacebook、YouTubeなどの情報に基づいてだ…

平野啓一郎『あなたが政治について語る時』(岩波新書)

あなたが政治について語る時 新書 平野 啓一郎 X ノーブランド品 Amazon 平野啓一郎の時評集。政治について発言することを積極的に奨励し、政治について普段から議論することの大切さを伝えてくる本である。全体的にインテリによる時代の空気を読み取った深…

米原謙『植木枝盛』(中公新書)

植木枝盛 民権青年の自我表現 (中公新書) 作者:米原謙 中央公論新社 Amazon 植木枝盛の評伝。自由民権運動の時代に、主権を人民に与えるべきとすることなどを唱えて理論的に重要な役割を果たした。明六社、立志社、愛国者などを経て、また新聞投書や雑誌の編…

上杉勇司『クーデター』(中公新書)

クーデター― クーデター―政権転覆のメカニズム (中公新書) 作者:上杉勇司 中央公論新社 Amazon クーデターについて重厚にまとめた本。クーデターとは支配階層に属する一派が政権の権力者を一撃で交代させる行為である。国内にクーデターを鎮圧できる勢力がい…

伊藤将人『移動と階級』(講談社現代新書)

移動と階級 (講談社現代新書) 作者:伊藤将人 講談社 Amazon 移動の観点から格差を読みといていく好著。移動格差とは、異動をめぐる機会や結果の不平等と格差、それが原因で起こる社会的排除と階層化のことである。経済的な豊かさと移動格差には密接な関係が…

志賀信夫『貧困とは何か』(ちくま新書)

貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問 (ちくま新書) 作者:志賀信夫 筑摩書房 Amazon 貧困についての考え方の変遷をたどった本。19世紀末から20世紀初頭には絶対的貧困理論が提示されており、貧困とは肉体的能率の維持ができないほ…

藤高和輝『バトラー入門』(ちくま新書)

バトラー入門 (ちくま新書) 作者:藤高和輝 筑摩書房 Amazon クイア理論の基礎付けとみなされるようになったジュディス・バトラーの入門書。バトラーは、セックスとジェンダーと欲望の連続性、つまり、女性だったら女性らしく振舞い、男性を愛するようになる…

アシル・ムベンベ『黒人理性批判』(講談社選書メチエ)

黒人理性批判 (講談社選書メチエ) 作者:アシル・ムベンベ 講談社 Amazon 黒人とはなんであるかについての哲学的考察。世界は「黒人」になろうとしている。かつて西洋近代が標榜した理性、自由、自我、平等、人権のような価値は、その裏側ではひどい暴力、犠…

渡辺将人『台湾のデモクラシー』(中公新書)

台湾のデモクラシー-メディア、選挙、アメリカ (中公新書 2803) 作者:渡辺 将人 中央公論新社 Amazon 台湾の現代史、政治体制等について書かれた本。台湾では2000年に国民党から民進党へ政権交代し、アジアにおける民主主義の雄となっている。アメリカと…

近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

就職氷河期世代 データで読み解く所得・家族形成・格差 (中公新書) 作者:近藤絢子 中央公論新社 Amazon 就職氷河期世代について、労働経済学の観点から手堅く研究した本。就職氷河期世代は、上の世代に比べて雇用が不安定で年収が低く、その差は解消しない。…

橋本努『ロスト近代』(弘文堂)

ロスト近代 資本主義の新たな駆動因 作者:橋本 努 弘文堂 Amazon ポスト近代の後にくるロスト近代における現状と打開策を論じている本。ポスト近代においては、近代の超克が企図され、父権としての超越的規範が批判され規範そのものが失われていった。その過…

東浩紀『訂正する力』(朝日新書)

訂正する力 (朝日新書) 作者:東 浩紀 朝日新聞出版 Amazon 一人一人が訂正する力をもって地道に行動していけば社会は変わるという主張をしている本。訂正する力とは、過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力のこ…

鈴木大介『ネット右翼になった父』(講談社現代新書)

ネット右翼になった父 (講談社現代新書) 作者:鈴木大介 講談社 Amazon 晩年ネット右翼に近い言動をとっていた父の実像に迫っていくルポルタージュ。著者の父親は、がんで亡くなる前の晩年、①嫌中嫌韓、②社会的弱者への無理解、③伝統的家族への回帰、性的多様…

ブレイディみかこ『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』(岩波現代文庫)

ヨーロッパ・コーリング・リターンズ: 社会・政治時評クロニクル 2014-2021 (岩波現代文庫 社会 330) 作者:ブレイディ みかこ 岩波書店 Amazon 本書は、著者がYahooなどの各媒体に発表した短い時評を年代別に編んだものである。扱っているのは主にイギリスの…

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』(岩波現代文庫)

永遠のファシズム (岩波現代文庫) 作者:ウンベルト・エーコ 発売日: 2018/08/18 メディア: 文庫 作家であるウンベルト・エーコの政治に関する論考を収めた本である。戦争について、その情報技術社会における位置づけや知識人の責任、ネットワーク的生起など…

渡辺靖『白人ナショナリズム』(中公新書)

白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」 (中公新書) 作者:渡辺靖 発売日: 2020/05/29 メディア: Kindle版 黒人への暴力行為などで最近注目を浴びている白人ナショナリズム。本書はその実態について概観できる優れた本である。白人ナショナリズ…

佐々木毅『アメリカの保守とリベラル』(講談社学術文庫)

アメリカの保守とリベラル (講談社学術文庫) 作者:佐々木 毅 メディア: 文庫 本書はアメリカの保守とリベラルの対立、またその対立の乗り越えについて論じた基本的文献である。小さな政府を志向し、カトリック道徳に忠実な保守と、大きな政府を志向し、弱者…

内田健三『戦後日本の保守政治』(岩波新書)

戦後日本の保守政治―政治記者の証言 (1969年) (岩波新書) 作者:内田 健三 発売日: 1969/12/20 メディア: 新書 政治記者が書いた本書は、学者が書いたと思うほど整然として無駄がなく情報量が多い。戦後日本の首相の系列を中心に据えて、彼らの足跡を追ってい…

宮本・山口『日本の政治を変える』(岩波現代全書)

徹底討論 日本の政治を変える――これまでとこれから (岩波現代全書) 作者:宮本 太郎,山口 二郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/03/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「曲がり角を適切に曲がれなかった」日本政治を省みている本。戦後日本の政治…

速水健朗『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)

フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人 (朝日新書) 作者: 速水健朗 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/12/13 メディア: 新書 この商品を含むブログ (36件) を見る 食の傾向から政治意識を読み解いてみた本。 食の傾向により、人々をフード…