食の傾向から政治意識を読み解いてみた本。
食の傾向により、人々をフード左翼とフード右翼に分けることができる。健康志向で地域主義なフード左翼と、ジャンク志向でグローバリズムなフード右翼。フード左翼は都市の富裕層に多く、有機農法や菜食主義の傾向をもち、環境意識などの政治的な意識を強く持つ。一方フード右翼は貧困層に多く、質よりも量や安さを重視する。
フード左翼の標榜する有機農法は必ずしも環境にやさしいわけではなく、土地効率が悪いため食糧問題に悪影響を及ぼす。また、フード左翼はスピリチュアルな傾向が強く、食の再魔術化に陥っている。
本書は決して政治学の本ではなく、特に緻密な議論がなされているわけではないが、日本人の食から左右の政治志向を読み取り、それをマッピングしている点で非常に示唆に富むものとなっている。何を食べるかということはどのようなシステムを支持するかということと結びつき、政治的意識の表出となりうるのである。面白かった。