社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

齊藤彩『母という呪縛 娘という牢獄』(講談社)

母という呪縛 娘という牢獄 作者:齊藤 彩 講談社 Amazon クライム・ノンフィクション。異常な性格を持つ母親から、暴力・罵倒・強要などの虐待を受け続け、最終的に母親を殺した娘の物語。実際に起こった刑事事件の綿密な取材のもと生まれた非常に読みやすい…

岡嶋裕史『メタバースとは何か』(光文社新書)

メタバースとは何か~ネット上の「もう一つの世界」~ (光文社新書) 作者:岡嶋 裕史 光文社 Amazon メタバースについて、具体例を挙げながら解説している本。メタバースとは、「現実とはすこし異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」のことで…

船木亨『倫理学原論』(ちくま新書)

倫理学原論 ――直感的善悪と学問の憂鬱なすれちがい (ちくま新書) 作者:舟木亨 筑摩書房 Amazon 倫理学の根本を探求した本。倫理はしばしば宗教・政治・経済・法律と混同されて互いに入り混じってしまう。宗教・政治・経済・法律が混ざっていない純粋倫理につ…

寮美千子編『空が青いから白をえらんだのです』『名前で呼ばれたこともなかったから』

空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫) 新潮社 Amazon 名前で呼ばれたこともなかったから:―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫 り 5-2) 新潮社 Amazon 奈良少年刑務所において、編者が「社会性涵養プログラム」として行った詩作講座…

マウンティングポリス『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)

人生が整うマウンティング大全 作者:マウンティングポリス 技術評論社 Amazon 爆笑必至であるが、なかなか鋭い洞察を示してくれるマウンティングに関する本。マウンティングの実例を豊富に示したうえで、相手にマウントをとらせることがビジネスシーンでも役…

村松聡『つなわたりの倫理学』(角川新書)

つなわたりの倫理学 相対主義と普遍主義を超えて (角川新書) 作者:村松 聡 KADOKAWA Amazon 徳倫理学の入門書。功利主義や義務論では適切な解決ができない問題がたくさんある。徳倫理学は、すっぱりした回答を出してはくれないが、様々な事情を勘案しながら…

マイクロアグレッション

最近、少数者や特定の属性を持つ人に対する些細な、ときには意図せざる差別的言動をマイクロアグレッションと呼ぶようになった。例えば女性の業績に対して「女性なのにすごい」と言ったりすることの背後には、「女性は大したことがない」という偏見が隠れて…

山本圭『嫉妬論』(光文社新書)

嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~ (光文社新書) 作者:山本 圭 光文社 Amazon 嫉妬について小気味よくまとめて論じた本。嫉妬は民主社会において、人々が平等であることによっていっそう生じやすくなっている。嫉妬は公益的に作用すると世直しを導く…

奥村隆『他者といる技法』(ちくま学芸文庫)

他者といる技法 ――コミュニケーションの社会学 (ちくま学芸文庫 オ-37-1) 作者:奥村 隆 筑摩書房 Amazon 論文集。人間はただのリラックスした家庭生活を送るときでさえ、表情を整えたり相手に反応したり、一定の他者とともに居る技法を用いている。他者とい…