社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2018-01-01から1年間の記事一覧

貴戸理恵『「コミュ障」の社会学』(青土社)

「コミュ障」の社会学 作者: 貴戸理恵 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2018/04/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 主に不登校をめぐる社会学的研究。 コミュ障というものはコミュニケーション障害の略であり、主に学…

藤野寛『「承認」の哲学』(青土社)

「承認」の哲学――他者に認められるとはどういうことか―― 作者: 藤野寛 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2016/06/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る アクセル・ホネットの承認論の解説といったところ。 自己の欲求の実現をはかるとき、…

栗原康『アナキズム』(岩波新書)

アナキズム――一丸となってバラバラに生きろ (岩波新書) 作者: 栗原康 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/11/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る あらゆる支配から免れ、生の拡充を目指すアナキズムの思想を紹介。 ①エコ・アナキズム…

ミルチャ・エリアーデ『聖と俗』(法政大学出版局)

聖と俗―宗教的なるものの本質について (叢書・ウニベルシタス) 作者: ミルチャ・エリアーデ,風間敏夫 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 1969/10 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (16件) を見る 宗教とは何か、という…

篠田英朗『ほんとうの憲法』(ちくま新書)

ほんとうの憲法: 戦後日本憲法学批判 (ちくま新書 1267) 作者: 篠田英朗 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/07/05 メディア: 新書 この商品を含むブログ (7件) を見る 国際協調主義を重視する立場から憲法学の通説を批判する本。 日本ではドイツ憲法学…

大和田敢太『職場のハラスメント』(中公新書)

職場のハラスメント なぜ起こり、どう対処すべきか (中公新書) 作者: 大和田敢太 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2018/02/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 職場のハラスメントについて、その実態を踏まえたうえで問題の本質に…

服部泰宏『採用学』(新潮新書)

採用学 (新潮選書) 作者: 服部泰宏 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/05/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 優秀な人材を採用するための方法を科学的に提言する本。 採用力=採用リソースの豊富さ×採用デザイン力 である。採用の…

藤谷俊雄『「おかげまいり」と「ええじゃないか」』(岩波新書)

「おかげまいり」と「ええじゃないか」 (岩波新書 青版 680) 作者: 藤谷俊雄 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1968/05/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 近世日本の民衆解放運動としての「おかげまいり」と「ええじゃないか」につい…

沖大幹『水の未来』(岩波新書)

水の未来――グローバルリスクと日本 (岩波新書) 作者: 沖大幹 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/03/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 環境問題としての水問題についての入門書。 グローバルリスクとしての水危機は以下のようなも…

玄田有史『雇用は契約』(筑摩選書)

雇用は契約 (筑摩選書) 作者: 玄田有史 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/03/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 雇用期間に注目して労働状況を分析し、現在の多様な雇用形態に着目し、雇用契約の重要性を説いた…

熊谷晋一郎『痛みの哲学』(青土社)

ひとりで苦しまないための「痛みの哲学」 作者: 熊谷晋一郎,大澤真幸,上野千鶴子,鷲田清一,信田さよ子 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2013/10/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 痛みについて脳性麻痺を持つ著者が…

石田光規『孤立の社会学』(勁草書房)

孤立の社会学: 無縁社会の処方箋 作者: 石田光規 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2011/12/07 メディア: 単行本 クリック: 15回 この商品を含むブログ (2件) を見る 無縁社会の実態をデータベースで分析し、それに対する処方箋を示したもの。 無縁社会や…

岸政彦『マンゴーと手榴弾』(勁草書房)

マンゴーと手榴弾: 生活史の理論 (けいそうブックス) 作者: 岸政彦 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2018/10/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 社会学の質的調査としての生活史の理論を書いた本。 聞き取りとは語り手との会話であ…

吉見俊哉『トランプのアメリカに住む』(岩波新書)

トランプのアメリカに住む (岩波新書) 作者: 吉見俊哉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 2017年から1年間著者がハーバード大学で教鞭をとった際にアメリカの現状を眺めてしたためた随想…

齋藤直子『結婚差別の社会学』(勁草書房)

結婚差別の社会学 作者: 齋藤直子 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/05/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 同和問題に基づく結婚に関する差別的取り扱い(破談など)についての質的調査。 齋藤は、多くの人たちにインタビューしながら…

牧野智和『自己啓発の時代』(勁草書房)

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究 作者: 牧野智和 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2012/03/07 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 36回 この商品を含むブログ (20件) を見る 現代においてブームになっている自己啓発についての社会学的研…

J.B.ビュアリ『思想の自由の歴史』(岩波新書)

思想の自由の歴史 (岩波新書) 作者: J.B.ビュァリ,J.B. Bury,森島恒雄 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1983/05 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 主に宗教的思想の自由についての歴史について詳説した本。 古代ギリシア・ローマの時代には、自…

個人と組織との間の信頼関係

個人と個人との間には信頼関係がある。個人が相手を信頼し、相手が個人を信頼する、そういう正の循環が回っているとき、お互いにとって利益がある関係となる。 個人と組織との間でも同じように信頼関係を考えることができる。個人が組織を信頼するといった場…

深井智朗『プロテスタンティズム』(中公新書)

プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書) 作者: 深井智朗 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/03/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (11件) を見る プロテスタンティズムの勃興から現代への影響までを丁寧に追った本。 …

家永三郎『数奇なる思想家の生涯』(岩波新書)

数奇なる思想家の生涯―田岡嶺雲の人と思想 (1955年) (岩波新書) 作者: 家永三郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1955 メディア: 新書 購入: 1人 この商品を含むブログを見る 明治の時代に先鋭的な思想を掲げながら、その筆鉾の鋭さゆえ著作が発禁となり…

森岡孝二『働きすぎの時代』(岩波新書)

働きすぎの時代 (岩波新書 新赤版 (963)) 作者: 森岡孝二 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2005/08/19 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 35回 この商品を含むブログ (61件) を見る 世界的に労働時間が増加していることに警鐘を鳴らした本。 現代社会に…

平木典子『アサーション入門』(講談社現代新書)

アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法 (講談社現代新書) 作者: 平木典子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/02/17 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (13件) を見る 人間関係を良好にするアサーションについ…

夢を見ていた

今の会社組織に入ってもう5年になる。私は大学院で法律を修めたコンプライアンス世代であり、現実社会に出てみると法的にアウトなことが割と普通に行われていることを知った。暴行や脅迫、名誉毀損、ハラスメント、そういった行為が現実社会では割とカジュ…

人間関係の改善のために

人間は長い人生の間、人間関係が悪化することがままある。だがその際に一番やってはいけないことは、「こいつが悪い」「あいつが悪い」という犯人捜しである。誰かを犯人に仕立て上げれば問題は解決するどころか一層悪化する。人間関係が悪化するとき、多く…

家永三郎『革命思想の先駆者』(岩波新書)

革命思想の先駆者―植木枝盛の人と思想 (岩波新書 青版 224) 作者: 家永三郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1955/12/16 メディア: 新書 クリック: 5回 この商品を含むブログ (1件) を見る 自由民権運動の立役者である植木枝盛の人と思想を紹介した本。 …

岸政彦『はじめての沖縄』(新曜社)

はじめての沖縄 (よりみちパン! セ) 作者: 岸政彦 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2018/05/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (8件) を見る 沖縄の人々の生活史を描いてきた社会学者による沖縄の入門書。 本土と沖縄の間には明確…

山脇直司『公共哲学からの応答』(筑摩選書)

公共哲学からの応答―3・11の衝撃の後で (筑摩選書) 作者: 山脇直司 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2011/12/01 メディア: 単行本 クリック: 12回 この商品を含むブログ (4件) を見る 3・11に対して公共哲学の立場から議論を投げかけたもの。 人々の支…

近藤康史『分解するイギリス』(ちくま新書)

分解するイギリス: 民主主義モデルの漂流 (ちくま新書 1262) 作者: 近藤康史 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/06/06 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る イギリスの伝統的な安定的な政権が現在どのように変化してきたかについて記述…

池内恵『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書) 作者: 池内恵 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/05/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (13件) を見る 混乱する中東情勢に歴史的な筋道を与える本。 オスマン帝…

擬似宗教のススメ

宗教というものは超越的な人格者に対する信仰を核とするものである。典型的には神に対して信仰心を抱くという形態をとる。だが、無宗教であっても、人間は超越的なものへとまなざすことができるのではないだろうか。 日々の雑事に追われていると、世界が神秘…