社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

論理は一つの正義にすぎない

論理的であることが過大視される場面が割と多いように思います。論理的であれば絶対正しい、論理は覆せない、そう思っている人もいるかもしれません。ですが、正義というものは論理だけではなくほかにもいろいろあります。効率性や平等性、感情や直観など。…

稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書) 作者:稲田 豊史 光文社 Amazon 映画を早送りで観る人たちが増えている。そのようなコンテンツ消費の深層に迫る本。映画には間にも意味があり、作成された時間のま…

矢野・佐々木『絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか』(勁草書房)

絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか: 空間の絵本学 作者:矢野 智司,佐々木 美砂 勁草書房 Amazon 絵本に対する画期的な洞察を示す良書。空間構成のプロセスから考えたとき、絵本は、絵や文によって関係が集積して積み重なり、そのはてにその関係の…

波戸岡景太『スーザン・ソンタグ』(集英社新書)

スーザン・ソンタグ 「脆さ」にあらがう思想 (集英社新書) 作者:波戸岡景太 集英社 Amazon アメリカを代表する知識人として、その言説や行動が絶えず話題の的となっていたスーザン・ソンタグの入門書。ソンタグは、「反解釈」の立場をとり、既存の解釈にあら…

メグ・レタ・ジョーンズ『Ctrl+Z 忘れられる権利』(勁草書房)

Ctrl+Z 忘れられる権利 作者:メグ・レタ・ジョーンズ,石井夏生利,加藤尚徳,高崎晴夫,藤井秀之,村上陽亮 勁草書房 Amazon EUデータ保護規則にも盛り込まれている「忘れられる権利および消去権」。デジタル贖罪とも呼ばれるこの新しい権利について、各国の学説…

源河亨『愛とラブソングの哲学』(光文社新書)

愛とラブソングの哲学 (光文社新書 1277) 作者:源河 亨 光文社 Amazon 愛とラブソングについて哲学的な分析を加えていく本。愛は感情の枠に収まるものではなく、対象となる人に関する思考・欲求・行動・感情を生み出す潜在的な基盤である。そして愛は代替不…

郭四志『脱炭素産業革命』(ちくま新書)

脱炭素産業革命 (ちくま新書) 作者:郭四志 筑摩書房 Amazon 気候変動などの抑止に向けたカーボンニュートラルの推進のための最近の技術革新について詳細に解説している。CO2削減のため、洋上風力発電の拡大、燃料アンモニア産業の拡充、水素を利用した技術開…

渡名喜庸哲『現代フランス哲学』(ちくま新書)

現代フランス哲学 (ちくま新書) 作者:渡名喜庸哲 筑摩書房 Amazon 哲学史として哲学の教科書に載っている哲学者以降の現代フランス哲学について概説している本。フーコー、ドゥルーズ、デリダというと誰でも知っていると思うが、そういったビッグネーム以降…