アメリカを代表する知識人として、その言説や行動が絶えず話題の的となっていたスーザン・ソンタグの入門書。ソンタグは、「反解釈」の立場をとり、既存の解釈にあらがおうとした。本質を見抜くふりをしながら相手を煙に巻く「解釈」や、ファインダー越しの今を愛でるふりをしながらもシャッターを切ることでそれを過去のものとしてしまう「写真」や、難病の原因を探るふりをしながら患者の精神的堕落を責めてしまう「隠喩」にあらがおうとした。ソンタグは知性の暴力を戒め、反知性主義と連動すると見せながら、実際は対抗文化も咀嚼しつつもう一つ新たな知的文化を構築するスタンスをとった。
ソンタグのアクロバティックで技巧的な批評的思想はそれほど理解が容易ではない。その時々の時世に応じた発言もあるわけで、その全貌をつかもうとしたら相当大変だと思う。だが、知性にあらがいつつも安易に反知性主義に陥らないその姿勢はとてもユニークで際立った知性を感じさせる。『反解釈』は昔読もうと思って挫折した本なので、これを機に読み返したい。