社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

二重の基準

法律効果を発生させるためには、事実が二つの基準をクリアしなければならない。それは、事実が、(1)すべての構成要件を満たすかという基準と、(2)そもそも特定の構成要件に該当するかという基準である。 学説は、(1)のレベルでは、法定されていない…

申請に対する処分と信義則

行政手続は、一般に行政のはたらきの事前規制によって行政の違法を抑止しようとすることが目的とされる。だがもちろん、それぞれの手続にはそれぞれの手続特有の趣旨目的がある。たとえば不利益処分に関する手続だったら、国家の恣意的作用から国民を守ると…

暴力

暴力はいけない、という。だが、社会規範が維持されているのは、まさに背後に暴力が控えているからだ。国家は私人に代位して暴力を行使する。 暴力はいけない、という。だがだまされてはいけない。決裂した紛争を最終的に解決するのは暴力でしかありえない。…

権利濫用

権利の濫用ですぐ損害賠償が問題になったりするが、そもそも権利の濫用の直接の帰結は権利行使の無効ではないのだろうか。権利というのは形式的・画一的・抽象的に設定されるが、その具体的な行使の現場で、権利の与えられた趣旨に反するような権利行使がな…

公訴事実

公訴事実とは、もともとの意味としては、訴因の背後にある生の犯罪事実である。だが、これは、あらゆる細部まで特定された完全に具体的で歴史的な事実なのか、それとも一定の抽象化がなされた事実なのか。 訴因変更は公訴事実の同一性の範囲内でなされる(3…

特定説(識別説)

訴因の記載の具体性の程度については、「他の犯罪事実から識別可能な程度に特定されていればたりる」とする特定説が通説である。だが、「犯罪事実」とはどの程度の具体性を持ったものであろうか。犯罪事実に要求される具体性の程度が明らかにならなければ、…

休み

昨日実家に帰って午前中はひたすら寝た。午後になって意欲が出たので友達と美術館へ。帰ってきてからも寝る。今日は午前映画を見て、また寝る。まだ休み足りてないが、これまでろくに休んでこなかったので、ここいらで休み倒そうと思う。午後も寝よう。

知財

しかし、知財選択の人には優秀な人が多いな。私みたいなのが知財選択で本当に良いのだろうか? まず感じるのは、私のような基礎がなってないやつは六法の基礎を固めるだけで精一杯だから、おのずと選択科目も手薄になってしまうということ。判文なんて丁寧に…

低調

やる気が出ない。先週の今日もひどく憂鬱で、何度か授業をさぼろうと決意したが、何とか克己して授業に行った。こんなんで試験乗り切れるんだろうか。軽い睡眠障害も起きている。なんか俺やばくね?

物権と債権

債権だって物に対する権利だと思う。金銭債権だって、札束を引き渡す身体的行為を要求しているわけで、物(札束)を渡す物(身体)を、その引き渡す瞬間拘束し支配しているのである。労働債権だと、債権の「物」性が如実に現れる。労働関係において、使用者…

付け加え禁止?

条件関係の判断で、現実化しなかった仮定的事情を付け加えてはいけないと言われる。行為者が2丁拳銃を持っていて、右手の銃で被害者を殺害した場合、「仮に右手の銃で撃たなかったとしても左手の銃で撃って具体的に同じ結果を引き起こせたのだから条件関係…

国家賠償制度

国家賠償法の存在意義がいまひとつよく分からない。行政裁判所がなくなった現在、公法的な損害賠償を特別の法律で認める必要があるのだろうか。要するに、民法の使用者責任・工作物責任で充分対応できないのだろうか。過納税額について不当利得返還請求を認…

物権と債権

物権は物を直接支配する権利、債権はその実現に人の行為を必要とする権利、と言われる。だが、そんなに単純でもないような気もする。 たとえばある人が放射性物質を所有しているが、それを利用するにあたって常に専門家の助力が必要だとする。そうすると、物…

落とす

またひとつ落とした。前期は二つ落としたわけだが、両方とも救済があるので助かる。まあケースブック中心の授業だったのに、テスト勉強は教科書を読んだだけだったからなあ。結局楽した分の付けが回ってくるんですね。どうも必修以外の科目をなめてかかる傾…

日本国憲法は明治憲法の改正によって基礎付けられるとする説があるようだ。だが、日本国憲法において主権者は国民であり、明治憲法において主権者は天皇である。明治憲法の改正によって日本国憲法を正当化するということは、つまりは天皇の意思によって日本…

訴えの利益と当事者適格

訴えの利益と当事者適格は、それほど判然と区別できないのではないか。訴えの利益は、権利保護の資格(法律上の争訟であって一般的に本案判決による処理に適する)、権利保護の利益(具体的に本案判決を求める現実の必要性・実効性)により構成される。当事…

所有権

憲法29条1項は私有財産制を制度的に保障したものだとされる。だが、ここでは「財産権」と書かれるのみで、その具体的内容は法律で定めるとしている(同条2項)。おそらくそれを受けているのだと思うが、民法206条は物の所有者に使用収益処分権能を与…

二種類の具体化

仮に私が、そろそろ古くなったから携帯電話が欲しい、と思ったとしよう。この段階では、欲求の対象は「携帯電話」という抽象的なものに過ぎない。次に、私は予算を考える。2・3千円でいいか、と決めたとしよう。すると、欲求の対象は「2・3千円の携帯電…

1周年

今日でこのブログは一周年を迎える。法律について考える場を作ったことにより、法律を学ぶ楽しみが倍加した。教科書にこういうことが書いてあるけど、実はこういうことじゃないか、こういう風にも考えられないか、とか、法律学全般についての考え方、また分…

ネット

私は家派なのだが、ネットに溺れている時間が多い気がしてならない。基本的に集中力がもたないから、教科書を1・2ページ読んでは音楽を聴き、それを何回か繰り返したらネットにつなぐ。で、ついついmixiとか好きなサイトとかを見てるとどんどん時間が過ぎ…

保存義務

特定物売買において、特定物債権の目的である特定物の所有権は、通説によれば、契約時に買主に移転する。契約成立後、引渡までの間、特定物の売主は他人の物を預かっているのである。いわばこれは一種の「寄託」状態であろう。 無償の寄託契約においては、受…

売買価格の決定の申立

通常の売買契約において、売買価格についての交渉が決裂すれば、売買は成立しない。そこに裁判所が介入して売買価格を決定して契約を成立させるなどということは私的自治への介入であり、裁判所の決めた価格では売りたくない、買いたくないという人の自律権…

契約が原始的に不能でも有効とすべきと潮見佳男は主張している。契約を無効とした場合、調査義務の不履行による損害賠償はできるが、信頼利益しか請求できないとのこと。(契約本体は無効でも、契約に付随する義務は発生するようだ。)たしかに、目的物が滅…