社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

刑事訴訟法

弁護人のパターナリズム

ある業界に明るくない人が、もしくはその業界でやっていく能力に乏しい人が、全くの自由な意思で行動すると、却ってその人の不利益になることがある。そういう場合、そういう人を守ってあげる人が必要だ。そういう人の自由を制限したり、そういう人の意に反…

比較

刑事訴訟における請求の趣旨は「被告人をXに処する」であり、請求原因は公訴事実であろう。とすると、訴訟物は請求の趣旨と公訴事実によって決まるのだから、例えば「被告の窃盗行為にもとづく刑罰権」のようなものだと思われる。 民事訴訟においては弁論主…

公訴事実

公訴事実とは、もともとの意味としては、訴因の背後にある生の犯罪事実である。だが、これは、あらゆる細部まで特定された完全に具体的で歴史的な事実なのか、それとも一定の抽象化がなされた事実なのか。 訴因変更は公訴事実の同一性の範囲内でなされる(3…

特定説(識別説)

訴因の記載の具体性の程度については、「他の犯罪事実から識別可能な程度に特定されていればたりる」とする特定説が通説である。だが、「犯罪事実」とはどの程度の具体性を持ったものであろうか。犯罪事実に要求される具体性の程度が明らかにならなければ、…

令状主義

被疑者の逮捕には逮捕状が必要である(刑訴199条1項)。ここで裁判官のチェックが入る。また被疑者の勾留には勾留状が必要である(刑訴207条1項・62条)。ここでも裁判官のチェックが入る。 だが、行政庁の権力的事実行為、すなわち代執行・直接強…

強制処分の限界

刑訴189条2項 司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。 こんな感じで捜査が始まるわけだが、捜査には任意捜査と強制捜査があり、強制捜査には法律の定めが必要である(197条1項但書)。任意捜査はどんな場…