社会科学読書ブログ

社会科学関係の書籍を紹介

2009-01-01から1年間の記事一覧

休業

年末年始なので勉強を休もうと思います。 しかし家族法って深いですね。例えば扶養義務(民877条)の根拠ってなんでしょう。契約法だったら義務の根拠は意思ですし、不法行為法だったら義務の根拠は侵害行為です。ところが、家族法の義務の根拠は、親族関…

法律と生活

財産法と家族法を比べた場合、家族法の方が人間の生活とのかかわりが深い。刑法と行政法を比べた場合、刑法の方が、人間の生活に与える影響は大きい。だがこれは概括的な判断であって、法律の設定する同一性は、その発生させる効果の同一性を拾えていない。…

文学

最近、文学が私を支えている。昔は、法律の勉強に専念するために文学を禁じていた。だが、今は法律の勉強を支えるために文学を読んでいる。現実逃避ではなく、現実とよりよく戦うために文学が必要なのだ。これまで勉強の合間合間に音楽を聴いて慰められてい…

価値

私は、東大の「学士(教養)」の学位よりも、国家一種法律職の上位合格の合格通知書や、東北大の「法務博士(専門職)」の学位の方が尊く感じる。私は東大に入るのにも東大を卒業するのもそんなに苦労はしなかった。だが、そこから分野を変えて、質の高い競…

人生

「民事法I」読了。少しずつ達成を積み重ねていこう。 自分の残された人生のことを考える。いったいどの方向に進めばよいのか。いったいどれだけのことがなしえるのか。人生スパンで物事を見たとき、結局必要なのは実力なのだと気づく。学問にしろ文学にしろ…

受忍義務

受忍義務は義務の本質ではないだろうか。つまり、作為義務の根底にも不作為義務の根底にも受忍義務がある。 作為義務を負う者は、その義務の履行において、自らの労力などを消費することによる不利益を受忍しているのである。不作為義務を負う者は、その義務…

後悔

私は3年前に官僚になることもできたのに、それを捨ててこっちの道に進んだわけだが、その選択が本当に正しかったかどうか分からなくなる。早々と就職して家庭を築いて人並みの幸せを得ていればそれでよかったはずだ。私にはそれができなかった。自分の将来…

あと5カ月

(ウェルテル風に) それはそうと、もう試験が迫ってきてるんだ。僕はと言えば、雨の音の中にも快楽の素を感じ、風の音の中にも深い慰めが混じっているのを聴く。一つの温かい諦めが僕の中心に鎮座している。もはや苦しい嵐の季節は去った。自分の心にもう一…

最判昭44・12・18

原告の夫が、原告の特有財産である不動産を被告に勝手に売ってしまったので、原告が被告に対して所有権移転登記抹消手続を請求した事例。被告が原告の夫の意思表示が日常家事の範囲内であると信じるにつき正当な理由があれば110条の趣旨を類推適用して被…

最判昭36・9・6

原告が、所得税の確定申告で二分二乗方式で申告したら更正処分を受け審査請求をしたところ棄却されたのでその取り消しを求めた事例。取消訴訟の違法性として、所得税法の前提とする民法762条1項が憲法24条に違反すると主張。つまり、民法では夫の名義…

「時計じかけのオレンジ」

スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」という映画がある。この映画では、犯罪を犯した主人公が、暴力的なシーンが連続する映像を強制的に見せられることで、暴力に対する生理的な嫌悪を抱くように矯正され、早々と社会復帰する。要する…

自己言及性

法がその法自体について自ら規定することがある。たとえば憲法98条1項の最高法規性。法の自己言及の在り方は、(1)法が自らの効力を規定する場合、(2)法が自らの適用範囲を規定する場合、(3)法が自らの目的を規定する場合、があると思う。 (3)…

婚姻意思と心裡留保

男と女がいるとする。男は本心では結婚する意思などないが、女は結婚する意思がある。そこで婚姻届を出す。この婚姻は有効だろうか。心裡留保の規定を適用すると、女が善意無過失だとすると婚姻は有効であり、男は婚姻の効力としての同居・協力・扶助義務が…

購入

敬愛する井田良先生の『講義刑法学・総論』『刑法各論』が届く。刑法については、基本書に書いてあることは自分で講義できるくらいによく理解しておかなければいけない、と思っている。空き時間を見つけて少しずつ読んでいこう。 行政法の基本書を読んでいる…

組合について

組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる(667条1項)。この文言からすると、組合を作る行為というものは双務契約であって、組合員に出資をさせ、組合規約などにより組合員の行動を規律し共同の事…

最近

最近、結構気持ちに余裕が持てている。基本書読みが大体終わりつつあるからだ。やるべきことはもう大部分やってしまった。あとはのんびり総仕上げをするだけ。その割にはブログを更新できていないのが不思議。いろいろアイディアは湧いてくるのだがうまくま…

保管

保管って何だろう。所有権の内容は使用・収益・処分だから、保管は所有権の内容ではない。「保管権」というのが特にあるわけでもなく、「俺の保管を邪魔するな」という妨害排除請求はとても奇妙だ。だからといって、「保管義務」という自己に対する義務があ…

進捗状況

基本書読みは、まだ行政法と刑訴が残っています。まずいなあ、百選も読まなければいけないのに。百選を読み終えないうちに試験が来てしまう気がする。一年も猶予をもらったのになあ。まあでもこれまでの勉強で実力はだいぶついたと思う。やっぱり基本書を読…

論理も正義の一つにすぎない

判例は、12歳の少年に責任能力を認めず(大判大6・4・30)、11歳の少年に責任能力を認めている(大判大4・5・12)らしい。責任能力が年齢とともに備わっていくものだとする通常の理解からすると、これは矛盾している。12歳に責任能力がないの…

条文って何だろう

すべて国民は、法の下に平等である(憲法14条)。だから、国家は同じ国民は同じく扱わなければいけない。だが、「同じ」である、すなわち同一であるといっても、様々な程度がある。損害賠償債権も代金債権も、債権であるという意味では同一である。だが、…

最近思うのは、「なんであの実力のある人が落ちたんだろう」と言われるくらい実力をつければ、別に一度くらい落ちてもかまわない、ということだ。私はそとづらは求めない。ただ中身を充実させること。

放棄できない権利

権利というものは、誰でもいつでも自由に放棄できるかのようにも思える。自分で自分の利益を放棄するのは自由だ、というわけである。ところが、放棄できない権利というものもある。 人権の不可譲性の議論の中で、権利を保持・行使することが同時に義務にもな…

悪について

悪をなくすにはどうしたらいいか。悪というものとどう対処したらいいか。そんなことをよく考える。だがそういった思考の前提として、そもそも悪とは何であり、どこからどこまで悪なのか、という問題がある。たとえば眠っている人の顔にいたずら書きをするの…

まじめすぎる

自分はどうもまじめすぎる気がする。だから疲れるんじゃないだろうか。これまでの人生で楽しい思いをしたことというのがあまりない。まじめなことは大事なことだが、まじめじゃないモードとの切り替えも大事だと思う。休みの日でも、あれこれまじめなことを…

楽しかった

今日は楽しかった。勉強を休んで温泉に入り、何人かの友達と電話で喋り、ちょっとした買い物をして。一日の終わりに「今日は楽しかった」と言えるのはまれである。毎日が楽しければいいのに。

半分

もう半分が過ぎてしまった。予定では基本書・択一はこの時期に終わるはずだったが、予定通りには行かず。だが、本を読めば確かに知識や実力は付いていく。だが実力があるからといって必ずしも試験に受かるとは限らない。この不安はやっぱり除けないものだ。…

自己に対する権利

権利とは基本的に他人に対するものである。自己の利益のために他人に作為・不作為義務を課すのが他人に対する権利だと思う。たとえば身体の自由は他人が自己の身体を拘束しないように不作為義務を課すものであろうし、代金債権は他人に代金を払うように作為…

余白

憲法の統治についての基本書を読み終えた。知識的には得るものは少なかった。こういう節目の時、結局自分は何を学んだのだろう、と思う。確かに択一できかれる知識がより正確にはなった。だがそういうことではなくて、全体として何がわかったのか、それがよ…

2年

このブログも書き始めてから二年がたつ。もともとブログを書いていたのだが(http://albatros2.blog27.fc2.com/)、それは芸術関連のブログで、法律の話をするのになじまなかった。つまり、そのブログの読者は法律を知らないし、私も自分の人格の二重性に応…

研究室訪問

今日は大学院で論文を指導して下さった先生のところに遊びに行ってきました。以下、今日学んだこと。 ・刑法の在り方は、論理必然的に導かれるものではなく、社会的・歴史的な様々な要因によって偶然的に形成されている。その偶然性を指摘することで、現在の…