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あと5カ月

 (ウェルテル風に)

 それはそうと、もう試験が迫ってきてるんだ。僕はと言えば、雨の音の中にも快楽の素を感じ、風の音の中にも深い慰めが混じっているのを聴く。一つの温かい諦めが僕の中心に鎮座している。もはや苦しい嵐の季節は去った。自分の心にもう一つ殻を作ってとげとげしく生きている必要はもうないんだ。もちろんまだやることはある。だけど一つの峰には登り切ったんだ。人生というのは、人間に楽しみや苦しみやいろいろなものを、うまい具合に分け与えるものだねえ。試験というものに対して人生が僕に分け与えてくれたものは、一つの確かな種子なんだ。この種子からは何が生えるのかはわからない。だけれども、必ずこの種子からは命に満ちた、充実した植物が生え出てくる。その花の色は分からない。つまり合否のことを言ってるんだ。だが花は必ず咲くことは確証されている。仮に落ちたとしても、そのときに咲いている花はそれとして美しいんだ。