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育児休業を取ってみて感じたこと

 妻の出産に伴い、生後百日は大変だろうということで、生後70日は里帰り先の妻の実家の義両親にサポートしてもらい、里帰りから戻ってきてその後の30日を、私が育児休業をとってサポートした。実際に育児に専念してみて色々感じたことがある。

1.ものの見方が変わる

 町の中を歩いていて、赤ん坊がいるとついつい注意深く見るようになった。この子は生後何カ月ぐらいだろうと思ったり、抱っこ紐の使い方やベビーカーの使い方などをよく見るようになった。また、スーパーなどで子どもが遊べるスペースなどをよく見るようになり、医者などに行っても子どものことはよく観察する。総じて、子どもに関することを見る解像度が上がった。

2.ケアについて考えが深まる

 育児とは赤ん坊をケアするということであるが、実際にケアする体験を通してそもそもケアとは何であるかといういくぶん哲学的な問題に思いをはせるようになった。ケアとは人間関係の根底に常にあるものであり、相手への根底的な肯定であり、身体性が非常に重要となる営みである。

3.産後クライシスを回避できる

 育児はなかなかつらい労働であるため、それを妻一人に押し付けると妻の不満が鬱積する。そこを上手にシェアして、夫の側でも育児を十分に行うことで妻の不満をやわらげ、夫婦関係の悪化を避けることができる。実際、育児休業をとったおかげで私は妻に感謝され、妻の不満が爆発することもなくスムーズに次の段階へと移行することができた。

4.わが子に尽くすことができる

 自分の子供というものはとてもかわいいものである。私は子供が生まれて何度も幸福感を感じることがあった。その子供にいろいろしてあげられるというのは、大変ではあるけれども幸せなことでもある。自分の子供のかわいさを感じながら自分の子供にしてあげられることをしてあげる、こんな大切な経験はまたとない。

5.世のお母さんたちに尊敬の念を抱くようになる

 とにかく、これだけ大変な育児をして子を育て上げた世のお母さんたちは素晴らしい。もちろん自分の母親も素晴らしいわけであるが。自分の親がいかに苦労したかもわかるし、そうすると親への見方も変わってくる。また、一般的に母親というものの偉大さが嫌というほどわかる。